「響17年」はサントリー創業90周年を記念して作られたお酒で、1989年に発売されました。
特徴は、最低でも17年熟成された原酒を使用しているという点です。サントリーが持つ歴史ある数多くの原酒の中から、酒齢17年以上のモルト原酒30数種類を厳選し、酒齢17年以上の円熟グレーン原酒とブレンドすることで作られました。さらに、ブレンド後の後熟にもじっくりと時間をかけることで、30数種類の原酒たちをしっかりと調和させ、ひときわ深く豪華なハーモニーを追及しています。独自のブレンド技術の粋を集めたサントリーウイスキーの最高傑作であり、世界でも最高級のプレミアムウイスキーのひとつです。その味は世界でも認められ、SWSCやIWSC、ISCなど、いくつもの世界的な賞を受賞しています。
「響17年」はラインナップの中で最初に登場しました。飛び抜けた癖がなく、日本人の味覚に合った出来上がりになっています。1989年の誕生以来、マイナーチェンジを繰り返しつつ完成度を高め、より飲みやすい逸品に仕上がっています。アルコール40度でありながら、ウイスキー初心者でも飲みやすくなっているのが特徴です。
様々な飲み方を楽しむことができるのも特徴のひとつです。ストレートで飲んでも、そのまろやかな口当たりとフルーティーさで非常に飲みやすく仕上がっています。カラメルの香りがやってきた後に青りんご、プラム、レモンなどの果実の香りが追いかけてきます。水割りにすると、そのフルーティな香りをより強く楽しめるようになります。ロックにして飲むと香りが一転し、ワサビや接着剤の香りの奥からチョコやバナナ、モルトの香りがやってきます。氷を入れると酸味が落ち着いて甘さを感じやすくなります。炭酸水を入れてハイボールにして飲むと、水割りとは違い、モルトの甘さを感じやすくなります。ハイボールはやや味が薄く感じることも多いので、香りを楽しみたいのであれば濃いめに入れるのが重要です。
飲み方によって違う顔をのぞかせるので、自分好みの飲み方を探してみるのも楽しいでしょう。
日本におけるウイスキーづくりの歴史の礎を気付いたのは、サントリー創業者・島井信治郎です。彼は1923年、京都郊外に位置する山崎の地で、日本初となる蒸留所の建設を行いました。ここで本場スコットランドの手法を学びながらも、日本の気候の中で日本人の嗜好に合った日本のウイスキーづくりを目指しました。当時、日本人は日本食の繊細な味付けを好んでおり、まだまだ洋酒に慣れていない人が大多数でした。そんな当時の日本人の嗜好に合わせるためには、優れたブレンドが必要不可欠でした。信治郎は持ち前の鋭い感覚を活かし、数々のブレンデッドウイスキーを生み出しました。
「響」を生み出したのは、信治郎の次男である佐治敬三です。二代目マスターブレンダーを継いだ彼は、彼は最高峰と呼ばれるにふさわしい日本のウイスキーをめざし、その思いと歴史の結晶として誕生したのが「響」です。生み出されたのは1989年、サントリーが創業90周年を迎えた記念の年でした。
「響」というブランド名には、「人と自然と響きあう」というサントリーの企業理念が込められています。豊かな自然にはぐくまれた原酒をブレンドし、世界に喜ばれるウイスキーを作ることは、まさにその理念を形にする試みであったと言えます。更に歴史ある原酒をブレンドすることで、重厚な響きあい(ハーモニー)を奏でるウイスキーにしたいという思いも込められています。
「響17年」を語る上で欠かせないのが「ミズナラ樽原酒」です。ウイスキーを熟成させる樽は、大きさや材質、内部の焼き具合などによってウイスキーの出来栄えを左右します。ウイスキーの樽には通常オークと言う木材が使われています。
代表的なのはアメリカとスペインが原産のオークですが、北海道で取れる日本原産のジャパニーズオークがミズナラです。戦後、海外のオークが手に入らないことから使われ始めたこのミズナラ樽は、サントリーがオリジナルで開発した貴重な樽です。使われ始めた当初はゴムのような匂いが出過ぎていたため使えませんでしたが、その後、長期熟成を経ることで、ウイスキーを複雑で東洋的な香りを持つものに育てる樽であることが分かり、多く使われるようになりました。「響17年」にはこのミズナラ樽で作られた原酒がキーモルトとして使われています。日本ならではの熟成をはぐくむ樽は世界からも注目を集めています。
「響17年」はその装いにも日本らしい意味が込められています。「響17年」の瓶は、24面カットのデキャンタボトルです。この24という数字には、1日の24時間を表す他に、日本の季節の移ろいを示す二十四節期を表す意味合いがあります。二十四節期とは、太陰暦を使用していた時代に季節を表すための工夫として考えられたものです。1年を24に等分し、区切られた期間に名前を付けることで季節を区切っていました。現在でも立春、夏至、秋分といった言葉に、その片鱗が残っています。日本が大切にする季節の移ろいを表すとともに、原酒が樽の中で過ごした日々やサントリーが持つウイスキーづくりの歴史、そして「響」を介してつながる過去と未来といった「時」の象徴としての意味を持っています。
ラベルには、約1500年の歴史を持つ手漉き越前和紙が使われています。越前和紙は福井県嶺北地方で製造されている和紙で、楮(こうぞ)や雁皮(がんぴ)といった植物を主原料に作られています。柔らかい光沢と、和紙が持つ気品を併せ持っています。そのラベルに記された「響」の墨文字は、グラフィック書道を切り開いた書道家、荻野丹雪氏によるものです。和紙と墨字による、日本ウイスキーならではのラベルがウイスキーにさらなる気品を与えています。
さらに、ボトルネックに巻かれた「深紫」の帯にも、サントリーが込めた思いがあります。紫は日本では伝統的に高貴な人間がまとう色とされてきました。遡れば飛鳥時代の位階制度でも、紫は最高位の冠色に定められており、その後の次代でも深紫は高貴な身分や極めて一部の上位の位にのみ纏うことが許された色でした。
そのような高貴な意味合いを持つ紫は、最高級プレミアウイスキーに相応しい色であると言えるでしょう。また、「深紫」の色合いは紫草の根を何度も繰り返し染めることで作られます。数多くの原酒の中から選りすぐりを厳選、吟味した上で、熟練のブレンダーによって生み出される「響」と同じ、調和の奥深さを表現しているのです。
響17年のお買取ならウイスキー買取コンシェルジュにお任せください。